Miseria ~幸せな悲劇~
息をのみながら、祐希は一瞬だけ戸を開けた。
「あがぁ゛ぁ゛゛…!!」
隙間から覗かれた化け物の顔はギョロりと祐希の顔を睨みつけた。
そして祐希は、勢いをつけてもう一度思いっきり戸を閉めた。
その勢いで化け物の腕は切断され宙をまってから無惨に床に落下した。
「今のうちに!!」
詩依はすかさず鍵を取り出して職員室を施錠した。
切断された腕はまるで生きているかのように動いていたが、
グシャッ…!
メイはなんの躊躇もなくその腕を踏み潰した。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
メイに踏まれた腕は煙をあげながら徐々に肉が消え、やがて骨だけがその場に残った。
「………」
鍵をかけた職員室からも少女が動く音が聞こえなくなった。
どうやら本体も切断された腕のように肉体を失い骨に変わってしまったようである。
「とりあえず、助かったみたいだね…」
三人は半身の少女の恐怖から解放されぐったりとした表情を浮かべた。
「もう、なんなのよ…」
詩依はうんざりとした口調で染々と言った。