Miseria ~幸せな悲劇~


「はぁ、はぁ、はぁ、やっと追いついた…」


詩依はメイに遅れて祐希に追いついた。


「ごめん、詩依……」


祐希は膝をついて息を切らせる詩依にむかって言った。


「いつ襲われるかってびくびくしてたわよ。ほんと迷惑………て、祐希、あんた案の定メイにぶたれたのね」


詩依は少し赤くなっていた祐希の頬に触れた。


「えっと、その、ごめん、メイ…」


祐希はなぜか再度メイに謝った。


「メイは手が早いからね。まぁ、祐希を殴るなんて、美花がいたら殺されてたけど…」


詩依は冗談混じりに言った。


「ちょと詩依…」


「あっ…」


「………」


美花がいたら?


その一言は祐希の心に刺さった。
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