Miseria ~幸せな悲劇~

やがて人形の声が聞こえなくなってきた。直後に黒い煙が上がる。どうやら爆発の中で炎に焼かれて死に絶えたらしい。


炎は家庭科室の前方の黒板の辺りを焼きつくし、メイ達のいる後方を除いて部屋の大半を真っ黒に焦がした。


「……これで、ようやく」


終わったんだ。


祐希がそう言いかけると、


「う、嘘………!」


炎の中から、身体中の皮膚が爛れ、人の形をした真っ黒な肉塊が現れた。


黒い肉塊は小刻みに震えながらメイ達の方に迫る。


「まさか、あいつまだ生きてるの…?」


メイは直感的に危険を感じ、祐希と詩依の手を握ろうと手をのばした。


しかし、


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」


炎を纏い、皮膚が焼け爛れ骨が剥き出しになりながらも、喰イ喰イは祐希と詩依の首に焦点をあてて手をかざした。


「うああっ!!!!」


すると、祐希と詩依の首に細い糸が絡まり、彼女達は首をおさえたまま地面に倒れた。


「祐希!! 詩依!!」


メイは祐希と詩依に駆け寄ろうとするが、
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