Miseria ~幸せな悲劇~
う、動かない!!!?
メイの体はまるで糸で操られたマリオネットのように自由がきかず、指一本すらまともに動かせなかった。
目を凝らすとメイの全身に糸が絡まっていた。
まずい、殺される…!
「メ゛イ゛メ゛イ゛…………!!!!」
喰イ喰イは炎を纏いながらメイに近づいた。
あ、熱っ…!!!
喰イ喰イは焼け爛れ飛び出しそうな青い目玉でメイの顔を覗きこむ。喰イ喰イについていた炎がメイの身体を焼く。
「………!!!!」
メイは口が縫いつけられたかのように声を発することができない。
喰イ喰イはそのままキスするほどその身体をメイに近づけた。
熱い、熱い、熱い、熱い、熱い、熱い!!!
喰イ喰イは左手に握られた朝比奈朱実のセーラー服をメイの腕ごと握りしめた。
全身を焼かれた喰イ喰イの火はセーラー服に引火した。セーラー服は黒い煙を上げて燃えていく。
「く゛そ゛、あ゛ん゛た゛なんかに………」
メイは動かない口でなんとか声を絞りだした。そして、唯一まともに動く目で喰イ喰イを睨んでなおも反抗を続けた。
「オ゛モ゛イ゛タ゛シ゛テ゛、メ゛イ゛…………………」
「!!!!!!!!!」
喰イ喰イはメイを抱きしめながらその瞳を見つめ、たしかにそう呟いた。