Miseria ~幸せな悲劇~

「だけれどね…」


詩依の視線の先には祐人と電話をする笑顔の祐希の姿があった。


その笑顔はきっと、死んだ美花も含め、誰もが望んだ結果だっただろう。


「最後にあの子達の笑顔を守れた。それで、今は十分よ」


「うん。そうだね」


メイは微笑みながら頷いた。


喰イ喰イとの戦いで失ったものは大きくて、取り返しのつかないものだったかもしれない。


しかし、彼女達が守り通したものも、かけがえのない、彼女達の希望(しあわせ)である。
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