Miseria ~幸せな悲劇~

☆☆☆

最後の一突きを自身の口に刺し、祐希と美花を殺した男は、力つきて倒れてしまった。


「あ゛あ゛あ゛」


メイは震えながらゆっくりと立ち上がる。


地下鉄のホームには不気味なほどの静けさが包み込み、駅の明かりが一斉に消えた。


「メイ………?」


詩依は心配そうにメイに呼びかけた。


メイの表情は先程までとは別人のように変わっていた。


今の彼女の弱々しい目は、まるで何かに脅されているかのようにも見える。


「………」


メイは詩依の呼びかけに一切反応せずに辺りを見渡した。


すると、地上へと続くホームの階段で、炎によって焼かれたはずの喰イ喰イがメイにむかって微笑んでいる姿が見えた。


喰イ喰イはまだ、生きていたのである。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」
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