Miseria ~幸せな悲劇~

メイは叫びながらホームの階段を上がっていった。


「違う、違う!! 私のせいじゃない!! 私は、私は!!!」


ボサボサになるまで髪をかきむしり、血が流れるまで手を壁にうちつける。


痛みが頭の中を支配し、一瞬だけ平穏が訪れようとも、メイにはこみ上げてくる激情を押さえつけることができない。


「うぐぇ、げほ、げほ……!!」


また強烈な吐き気がメイを襲い、メイはその場でしゃがみこんだ。強烈な頭痛のあとに、ある記憶がよみがえってくる。


思い出したくもなかった。


メイにとって最悪の記憶が。
< 372 / 394 >

この作品をシェア

pagetop