Miseria ~幸せな悲劇~

でも、それは、


『あの、メイさん?』


『!!!!!!!』


突然、むこう側から歩み寄ってきた。


『ほら、メイさんの髪、私なんかよりずっと綺麗だと思って』


『あ、あの、えっと……』


『たしかに、言われてみればメイの髪って綺麗だな。なぁ、みんなもそう思うだろ?』


『う、うん…』


赤羽美花と水島祐希が中心になって私に話しかけてきた。


二人はクラスでも一番の人気者だから、


本来は私なんかとは住む世界が違い過ぎる。


それどころか、


『ねぇ、赤羽さん、その、いいの? メイに話しかけて…?』


『はっ?』


『そうだよ、メイに関わるのはヤバイってよく聞くし。先生達だって、メイのこと避けてるんだよ』


『………………』


みんなは私に、話しかけることすらためらう。


たしかに私は、周囲から見れば異常者かもしれない。


だからそれも、


仕方がない事だと思っていた。


………でも、この日は違っていた。


『そうかな? 私はメイさんのこと、そんな風には思わないけれど……』


『えっ………』


その言葉を聞いた時、


私は夢かと思った。


水島祐希は、


初めて私を受け入れてくれたのだった。


『まぁ、言うて私もやんちゃしてるからな。少しぐらい癖のあるやつじゃないとおもしろくねえ。かもな』


赤羽美花もまた水島祐希に賛同した。


『うーん。二人がそう言うならね……』


さっきまで私に否定的だった者達までもが、私を受け入れた。


『あ、あの………』


遂に私の願いが神様に通じたのか?


この時初めて、


『わ、私。その………』


『ん、なに? メイさん?』


友達を得るチャンスが巡ってきた。


しかし、
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