Miseria ~幸せな悲劇~

『ひっぐ、うぐっ、えぐっ………』


トイレの泣きながら洗面器に顔を突っ込んで、胃の中の物を吐き出す私に、


『え………!』


誰かがハンカチを差し出した。


『メイさん……』


教室を飛び出した私を心配してくれたのか?


水島祐希は私の後ろに立って心配そうに私の背中をさすった。


赤羽美花も、トイレの入り口付近で腕を組んで私を見ていた。


『大丈夫? 苦しいの?』


『あ゛、あ゛あ゛あ゛…………』


水島祐希はまるで女神のような優しさで私を守ろうとしてくれた。


それなのになぜ?


『や゛、や゛め゛…』


私の体の震えは止まらなくなった。


『お、おまえ、何して…!?』
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