Miseria ~幸せな悲劇~

強烈な勢いで加速したサッカーボールがメイ達三人の方へ飛んできた。


ガシャンッ!!!!!!


「うぎゃっ!!!!!」


ボールは詩依の顔面付近のフェンスに当たり、雷鳴のような金属音を辺りに撒き散らした。


もちろんボールはフェンスにあたったため詩依は顔面への直撃は避けたが、ボールがフェンスとぶつかった威力にのけぞり、そのまま地面に倒れた。


「し、詩依、大丈夫?」


祐希は詩依に駆け寄った。


トレードマークの眼鏡が片方ずり落ちて、詩依は驚きのあまり呆然と魂が抜け落ちたような青い顔をしていた。


「悪い!悪い!誰か当たったりしてないか?」


そんな三人に大野が平謝りで駆けてきた。どうやらボールをフェンスにぶつけたのは彼女のようだ。
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