Miseria ~幸せな悲劇~
美花の考えは彼女らしく至極単純だった。いるかどうか分からないなら実際に呼び出してみればいいのである。
「み、美花、それって危なくないの?」
祐希は眉をひそめ心配そうな顔をした。
「ふっ。お腹壊すよ?」
素っ気ない態度でメイが言った。メイはよほど儀式の過程で紙を飲み込むことが気に入らないらしい。
「大丈夫、大丈夫。それになんかおもしろそうじゃん。神様ってどんなやつが来るのかな?」
美花はガチャガチャを回す子供のような顔で言った。
「てか、そもそも何を紙に書くつもりなのよ? あんたみたいなタイプ(馬鹿)に喰イ喰イに食べてもらいたい不幸なんかあるの?」
詩依がちょっぴり皮肉を交えて言った。
「えっ、うーん、そうだな……」
美花は目をそらして考え出した。かなり悩んでいるようである。
「やっぱり、考えてなかったのね」
詩依は呆れたように言った。