Miseria ~幸せな悲劇~
帰り道。祐希と別れた三人は赤く焼けた空と、ゆっくりと落ちる夕日のもとで、歩きなれた帰路を進んでいた。
海が近い。潮の香りとウミネコの声が聞こえてくる。キャンパスに赤い絵の具を撒き散らしたように、空と同じ赤色が、三人を含め、地上にある全てのものを赤く染めた。
「じゃあ私、こっちだから」
詩依はイヤホンを耳にさしながら言った。
「うん、じゃあね」
メイと美花は小さく詩依に手をふった。
「じゃあ、私達も行こっか」
「ああ……」
美花はぶっきらぼうに返事をした。メイと美花は二人で町の中を歩き出した。