Miseria ~幸せな悲劇~

メイと別れると、美花は商店街へ向かった。一角にあるの花屋で花束を買うと、それを抱えたまま、美花はある場所へむかった。


「また誰か、弔いに来たのかな……」


横断歩道の近くの電柱に、美花が以前訪れた時よりもたくさんの花が供えられていた。


美花は抱えていた花束を電柱に置くと静かに手をあわせて祈りだした。


「さてと……」


やがて美花はゆっくりと立ち上がり、また別の場所にむかって歩き出した。しばらく歩くと、美花は大きな国立病院の前で立ち止まった。


「風花、今日はどうしてるかな……」


美花は病院の前でそう呟くと不安げに病院の中へ入っていった。彼女の妹、風花に会うためである。
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