Miseria ~幸せな悲劇~
「……風花」
美花はお昼休み、一人で中庭の木の下にあるベンチに腰かけていた。
普段ならメイ達と昼食を一緒に食べるが、この日はそうそうに教室から出ていってしまった。
美花の手には白い粒が入った小さな袋を持っていた。それは喰イ喰イを呼び出す儀式に使うための塩であった。美花は憂わしげな表情でそれを見つめていた。
「喰イ喰イか……よりによって神頼みが最後の望みになるなんてな……」
美花は悔しそうに手を握った。強い空の日差しと相まって、美花の手には、じめっとした汗がにじんでいた。