Miseria ~幸せな悲劇~

「これで、いいんだよね……」


メイは満足そうに微笑んだ。彼女の瞳には、希望を見据えた光が真っ直ぐとさしていた。


「ふふっ……」


メイの背後でうっすらと笑い声が聞こえた。


そこに佇んでいたのは、あの美しい黒髪の少女だ。


「ええ、これで全て、メイが望んだ通りになる」


少女は吐息を吐くような声でささやいた。


青白い少女の形相からは、死へ誘う死神や悪魔のような不気味な気配が漂っている。


しかし、メイはそんな少女を愛おしそうな目で見つめていた。さも愛しい恋人に視線を注ぐような、恍惚とした表情だ。
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