Miseria ~幸せな悲劇~
「じゃあなんだよ…? この胸糞悪い気持ちを……あいつらにも背負わせろってことかよ…? 家族でもないメイ達にも…!大事な試合前の部員達にもか…?」
美花は苛立ちながら言った。同情なんてされたくもない。まして、自分の中にべっとりとからみつく不安を吐露したところで現実は何一つ進展しない。
風花は死ぬ。そんな残酷な結果はどうあがいても覆せない運命だった。
「……美花、私が言いたいのはそうじゃなくて……!」
恵は必死で美花をなだめた。しかし、美花は苛立ちを吐き出すように怒鳴った。
「ふざけんじゃねぇよババア!偽善者面しやがって!!それで風花が目をさますのかよ!!それで何が変わるんだよ!」
美花はそのまま立ち去ろうとした。
「待って美花!」
恵は美花を制止すべく彼女の腕を掴んだ。
「離せよ、くそ!!」
美花は恵の手を思いっきり払った。するとその拍子に、美花のポケットから小さな袋がこぼれ落ちた。喰イ喰イを呼び出す儀式に用いる、あの塩の入った袋である。