Miseria ~幸せな悲劇~


ペタ………ペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタペタ…ペタペタペタ……………………………………


足音はなおも止まらない。小学校の体育館でおいかけっこをしているように、足音はどんどん激しさを増した。


「……おい、誰かいるのか?」


大野は階段をゆっくり降りていった。


「……キャハ、キャハハッ、ハハ 」


足音に混ざって子供の声が聞こえてくる。誰かが彼女の家に入り込んでいることはもはや疑いようがなかった。


「………おい、誰だよ……!?」


大野が階段から廊下を覗きこむと、不思議なことに1階には誰一人の姿も見当たらなかった。


シーンとした、いつも通りの薄暗い廊下だ。


しかし、突然、


ボトッ……………………


音を立て、廊下の端に天井の暗闇から人型の塊が落ちてきた。


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