Miseria ~幸せな悲劇~
大野は忍び込むような足つきで落ちてきたものに近づいた。
「なんだよ………これ…?」
それは小さな人形だった。子供が就寝の際に連れ添うような、子供の胸に収まるサイズのフランス人形だ。人形は泥だらけになりながら遊ぶ子供の手中にあったようにボロボロだった。
大野はその人形にある違和感を覚えた。そして、その違和感が確信に変わった時、
「うわあああっ……!!!!!!」
大野は思わず悲鳴を上げた。
その人形は生き写しのように大野にそっくりだった。
「なんだよ!気持ち悪い……!!」
大野は息を乱して不快そうに言った。もちろん、こんな人形、大野は身に覚えがなかった。大野はゆっくりと人形に近づいてかがみこんだ。そして、不審そうに人形に手を伸ばした。