Miseria ~幸せな悲劇~
少女は不気味な笑顔を浮かべて大野に手をかざした。
「ぐあ゛っ………!!!!あ゛っ、あ゛ぐっ!!!!!!」
まるで糸が首に巻きついたかのように、見えない何かで大野は首を絞められた。息ができない。
苦しい。
手で首を絞める何かを剥がそうと抵抗するが、その何かを掴むことすらできない。
「ぐう…………あ…ぁ………」
ぼんやりと意識が薄れていく。ぼやけた瞳のフィルター越しに見えたのは、うっすらと笑いを浮かべる少女の顔だった。
「喰イ喰イ……? おまえ………なんで………」
そう言い残して、大野は意識を失いぐったりと倒れた。口を開けた大野の口からは、だらしなく唾液がこぼれていた。
「さぁ、行きましょう………」
その少女………
喰イ喰イは大野を象った人形を拾い上げた。喰イ喰イに呼びかけられて、家の奥から何かが大勢で近づいてくる。喰イ喰イは意識を失った大野を尻目に、家の奥へと消えていった。