Miseria ~幸せな悲劇~

その頃、薄暗い住宅街を、祐希達と別れたメイは一人で歩いてた。


「はぁ…」


美花のことを考え、メイは浮かない顔で大きなため息をついた。美花に連絡のつかないメイは、直接、美花に会うために美花の家を訪ねる途中だった。


そこへ、


「メイ、メイ……」


「えっ? だ、誰?」


メイを呼ぶ小さな女の子の声が聞こえてきた。その声の主を探して視線を落とすと、


「う、うそでしょ…!」


そこには小さなフランス人形がテクテクと歩いていた。


何かのトリックだろうか? 人形は時々メイの方を振り向くと、その小さな手で手招きをした。


「ついてこいってことかな……?」


メイは不審に思いながらも人形の後について行った。
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