Miseria ～幸せな悲劇～

その時、静かな住宅街の沈黙を裂くように、遠くでけたたましいサイレンの音が聞こえてきた。


「……なに、この音？」


メイは辺りを見渡した。どうやら何か事件があったようである。


「うわ、消防車ですよこのサイレン！ やっぱりあのメール本当だったんだ…！」


麻衣は驚いた表情で言った。


「メール？」


「サッカー部の部員全員に一斉送信でまわってきたんです！ なぜか送り主は不明だったんですけど……」


そう言うと麻衣はメイに携帯の画面を見せた。メイはそのメールを見て目を見開いた。


「………これって、まさか…」


二人はメールで記されていた場所に向かって走り出した。