Miseria ~幸せな悲劇~
「うわああああ……!!」
美花は思わずその光景に目を見張った。
「…………」
部屋の真ん中にはセーラー服を着た黒髪の少女が血まみれで佇んでいる。
男性、女性、そして子供もいる。少女のまわりには、首をくくって吊るされたたくさんの人間の姿があった。
「なんで…? 私を…………」
少女は恨めしそうな声でそう言った。フラりと体を揺らしながら、美花の方をゆっくりと振り返る。
「……やめろ、やめろ!!!!!」
美花が叫ぶと同時に、吊るされた人間の身体から一斉に炎が上がった。
炎は部屋中に引火し、すぐに美花は立ち込める炎の中心に立たされていた。
「やめろ! やめろ……!!!」
美花は凄まじい恐怖を感じた。
それは自分を焼き殺さんとする炎にでも、その炎に焼かれる人間の死相にでもない。血で真っ赤に染まった、黒髪の少女。彼女に対する耐え難い恐怖心だ。