君だから。

「へぇー、購買とか俺ちゃんと買えるかなー?競争率高いんだもんな」


私の説明を聞いた晴翔くんは心配そうにしている。


「みんな、何とかなってるみたいだよ?選ばなければだけど」


いつも何だかんだ言いながら何かしらのものをゲットしている。お目当てのものかどうかは別として。


「いやー、俺さ兄貴と一緒に住んでるんだけど、兄貴大学生なんだけど男二人で家事に余裕ないんだよ」


「お母さんは?」


疑問に思ったのでそう聞いてみると、晴翔くんは一瞬驚いてたけどあっさりと答えてくれた。


「あー、言ってなかったよね。ちょっと事情あって俺だけこっちに引っ越して来たんだ。丁度兄貴もいるし」


事情…


晴翔くんはなにか隠したいことがあるみたい。


そういえばさっき女の子に囲まれている時に転校してきた理由は秘密だって言ってたっけ。


私は気になったけどあえて聞かないことにした。


そりゃ誰にでも秘密にしたいことくらいあるよね。
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