君だから。
「ねえ葵、もしかしてその転校生って男の子?」
「そうだけど…」
「きゃーっ!」
お母さんは叫びながらくるくる回って大騒ぎ。
なんだか、こどもっぽい。
自分の親なのにそんなことを思ってしまって、咄嗟に取り消す。
お母さんは中身もこどもっぽいが見た目も若く見える。
今年で四十歳のはずだけど見た目は二十代でもじゅうぶん通る。
街を歩くと姉妹に間違われたことだってある。
恐るべしお母さんと心の中で思いつつ私は自分の部屋に向かった。
そして、今日のことを振り返ってみる。
まず、勝手に女の子だと思い込んでいた転校生は男の子で、しかもかなりのイケメン。
なんで女の子だと思っていたんだろう。
誰もそんなこと一言も言ってなかったのに。
それに転校生は私の隣の席であたふたしたなぁ。
それから、学校案内をすることになって、お礼に家まで送ってもらっちゃったし、ジュースとお菓子まで…。
そしてなにより、家が近くという共通点まで。
ほんと色々あったなぁ。
晴翔くんはすごく気さくな人で私でも話しやすかったなぁ。
なんだかすごいな
転校とか慣れてるのかな