君だから。
3.君と過ごす放課後
「おはよう〜」
「おはようーって、あれっ眼鏡してる」
「うーん、やっぱりなんか恥ずかしくて…」
「えー、なんでさー?勿体ない!」
そう言って凛が心から残念そうにしているから少し心が痛い。
「あ!でもよく見たらちょっとメイクしてる!それに、髪の毛も巻いてるね、どうしたの?」
「あー、えっと、お母さんがやってくれたの」
「美和子さん綺麗だもんね〜」
凛がコクコクと頷きながらそう言った。
私のお母さんは美容師で昨日家に帰った私を見るなり大はしゃぎして「明日は私にやらせて!」と息巻いていた。
髪の毛はヘアアイロンでゆるく巻いてもらって、編み込みをしてくれた。
メイクもお母さんがすごい乗り気で…。
されるがままにこの状況。
アイメイクをバッチリ決め、チークにリップ。
フルでメイクされた顔はいつもの私ではなくなんだか恥ずかしかったから仕方なく眼鏡だけかけてきた。
「なんかね、お母さんすごい気合い張ってて、見て、全然私じゃないでしょ?」
そう言って私は眼鏡をとって凛に顔を見せた。
「え?葵だよー!そこまで派手なメイクじゃないじゃん」