君だから。


「えっと、いい…の?」


「もちろん。俺、こう見えても結構取るの上手いから!」


そう言ってちょっとだけどや顔になる晴翔くん。


うん、確かに上手そうな気がする。


「えっと、じゃあ…これがいいな」


私はうさぎのぬいぐるみを指差してそう言った。


「よしっ!任せて!」


晴翔くんは気合を入れて百円玉を投入した。


レバーを操作し、目的の位置までクレーンを動かす。


その動きはとても慣れている様子で、あっという間に目的の位置に辿り着く。


そして、ボタンを押しクレーンの動きを見守る。


その顔はとても真剣で集中していることが伝わってくる。


クレーンは目当てのぬいぐるみを掴んで移動するが、その途中で落ちてしまった。


その瞬間────


「あー、外したかーっ!」


悔しそうに叫ぶ晴翔くん。


そして、もう一回と制服の袖をまくり本気モードになってしまう。


そんな姿もとてもかっこよくて。


心臓が高鳴る。


私はそっと晴翔くんのことを見守る。


結局、晴翔くんは二回目も惜しくも外してしまった。


そして、三回目の挑戦────


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