君だから。
そんな人なかなかいないよ。
だから────
「優しいよ、晴翔くんはすごく優しい」
「――っ」
私が真っ直ぐと晴翔くんを見つめて思ってることを伝えると晴翔くんは一瞬大きく目を見開いてそして、下を向いた。
そして、また顔をあげて
「葵ちゃん。その顔は反則でしょ」
ポツリとそう呟く。
え、それはどういう意味?
そんなに変な顔してたかなぁ。
「ご、ごめんね!そのっ、見苦しくて!」
慌てて私は謝った。
理由はわからないけど不快だったなら謝ろうと思ったから。
だけど、晴翔くんは首を振って
「そうじゃなくてっ!ていうかそんなことないから!それよりこっちこそごめん!俺の問題だから。だから、気にしないで?」
そう言う晴翔くんはすごく必死な様子。
困ったように私を見るその顔はなんだか子犬のようで。
とってもかわいかった。
でも、その事は言わないでおこう。
そんなに気にしてないのにな。
「晴翔くん落ち着いて?別に何とも思ってないから」
「え、あ、ほんと?」
まだ心配している晴翔くんに私はコクリと頷いた。
そして、気付けばもう家の前まで来ていて、私は晴翔くんにまたねと言って玄関に入った。