君だから。



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晴翔side


あーあ、俺何やってるんだろ。


葵ちゃんの家の前に取り残された後、しばらく呆然としていた俺はとぼとぼと家に帰っていった。


家はもちろんひとりで兄貴はいつも帰りが遅いから俺は遠慮なくソファへ飛び込んだ。


俺、葵ちゃんが好きだ。


たぶん、一目惚れだったと思う。


小さくて、おどおどしてて、なんだか守りたいって思ってしまう。


初めて見た時は三つ編みに眼鏡姿で硬いイメージがあったけど、話してみるとすげーいい子で。


それに、最近は新しい友達が出来たらしく、眼鏡はやめて、髪の毛を巻いたりしている。


目はクリクリでまつげ長くて、髪はふわふわしてるし、正直すげーかわいい。


だけど、葵ちゃんはそんな俺の気持ちに気づいてないから、さっきもあんな風に俺のことじーっと見つめて優しいよって。


赤くなるのを必死に抑えて思わずあんなこと言っちゃって、バレるかと思った。


でも、葵ちゃんは自分のことを見苦しいと言って謝ってきた。


そういう意味じゃなかったんだけどなー。


でも、気付かれなくてよかった。


まだ出会ったばかりだし、もっと仲良くなって、葵ちゃんのことを知っていきたい。


告白するのはまだ早いから。だから俺の気持ちをまだ彼女には知られたくない。


友達として仲良くなりたい。


だから、頑張れ俺。


自然に、なるべく自然に振舞おう。


気持ちを悟られないように────


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