君だから。
今のですでに三回目のシュートが決まっている。
バスケ部の長谷川くんでさえ、まだ一回しか決めていない。
それほど晴翔くんはバスケが上手で女子たちの黄色い歓声が鳴り止まない。
「ほら、葵もぼさっとしてたら他の子に九条くん取られるわよ」
凛がぼーっとしてた私の背中を叩いて言う。
「えっ!取られるも何もそういう関係じゃないから」
私はただ晴翔くんとよく話す隣の席の人という間柄。
だと、私は思っている。
だけど、凛からしてみれば晴翔くんと一番仲のいい女子に見えるそうだ。
「何言ってんの、葵はもう少し自覚しなきゃダメ」
「ん?何を?」
はぁーと凛は深いため息を吐いた。
「友里奈と梓はどう思う?」
呆れた凛は隣にいた友里奈ちゃんと梓ちゃんに問いかけた。
「どうって、そりゃあもちろん九条くんは葵ちゃんのこと狙ってるでしょ」
「うんうん、九条くんわかりやすいよね〜」
あああっ、二人とも同じ意見だ。
「だってね、九条くんは他の女の子には自分から話しかけないんだよ〜」
「葵ちゃんにだけ話しかけてるよね」
「それにね、一緒に遊びに行ったのも葵ちゃんだけなんだよ〜」
うっ。それは、そうなんだけど…。