君だから。
「ごめん、でもほんと秘密なの」
そう言って九条くんは申し訳なさそうに苦笑いした。
「まあ、いろいろあるよね!」
「あ、そんなことより!私たちと今度遊びに行こうよ!」
集まっている子達はクラスでも目立つ子達ばかりで何だかちょっと怖い。
そして、女子たちは九条くんに仕切りにアピールするのに必死だ。
なんだか大変そうだなぁ
転校生して早々、九条くんは大勢の女子に囲まれ質問攻めをくらっている。
まあ、こんなにイケメンだったらみんな放っておかないよね。
私はにぎやかな隣を横目に呑気にそう思っていた。
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六時間の授業が終わり掃除を済ませた放課後。
教室には私と九条くんだけ。
朝の賑やかさとは裏腹にとても静かな教室。
他の生徒たちは早々に帰ったり部活に参加したりと様々だった。
「えっと、早速だけど、学校案内頼んでもいい?」
「あ、うん。じゃあ一階から案内するね」
そう言って私は階段の方へと歩き出した。