嫌いな体
――ガチャッ
彼は家のドアを開け、誰もいない部屋をじっと見つめる。
彼は真っ先にシャワーを浴びた。
静かに流れでるお湯。
髪から顔につたり、体へと流れる雫。
その体は‥
男の体ではない‥。
そう、彼は‥‥女。
あの時の少女。桜雪 優花だ。
今の彼女は昔の面影はなかった。
彼女は完璧な男になっていた。
‥しかし、体はどうしても女だった。
変えようのない真実。
「――っ!!!」
優花は壁を鈍い音をだし殴る。
うるさくでるシャワーに雫が静かに体に流れていく。
ただただ、自分の体を嫌った。
家を出て一人で暮らしている。
高校も合格し、今は高校2年。だが、たまにしか行っていない。
そんな何もない人生を過ごしている。
本当につまらない世界。
風呂から出て、ベッドに体を預ける。
くすんだ天井を見つめる。
「くだらねえ」
優花は心も代わっていた。
もう、あの頃の優花はいない。
もう、笑う事もない。