極悪プリンスの恋愛事情
好き以外は何もいらない
迎えた文化祭当日。
結局凛くんは来なかったけれど、岸本くんのおかげでメイド&執事カフェは午前中から大繁盛だった。
意外にもノリノリな岸本くんは料理を運ぶたびに「お待たせいたしました、お嬢様」なんて甘いセリフを言ったりして。
来店する女性客の全員を虜にしていた。
私も一応メイド服は着ていたけど、特に目立つこともなく、気付けばシフト交換の時間になっていた。
「岸本がお客さんの相手してくれたから、だいぶ楽だったわ〜」
「本人は大変そうだったけどね」
更衣室で着替えをしながら、皐月とたわいもない会話する。
来客の大半は岸本くん狙いの女の子だったし、これを機に凛くんから岸本くんに乗り換える子が出てきそう。
私としてはライバルが減って嬉しいけど、岸本くん的には複雑だったりするのかな。
ぶっちゃけ言うと、凛くんの代わりってことだもんね。