極悪プリンスの恋愛事情
電話、切ったんだ……。
いったい何の話してたんだろう。
誰かに取られるとか、本気になる?とか。
急に変な話しを始めるから私にはよく理解できなかった。
「花野井ちゃん」
「は、はい!」
私を呼ぶ岸本くんと視線が重なる。
心拍数がやけに速いのは、真剣な雰囲気に包まれているせいだと言い聞かせた。
「後夜祭のダンスパートナー決まってないって言ってたよね?」
「うん、まぁ……」
「なら、俺のパートナーになってよ」
「はぇ?」
突然の提案に驚いてマヌケな声が漏れた。
目の前に立つ岸本くんも「変な声」と笑っている。
「え、だって、岸本くんは興味ないって……」
「やっぱり気が変わった。花野井ちゃんと一緒なら参加するのも悪くないかなって」