極悪プリンスの恋愛事情
なにそれ。
なんだよそれ。
後夜祭に誘うイコール“好き”という式が成り立つわけではないけれど、さすがに勘違いしそうになる。
去年は出なかったのになんで参加する気になったの?
凛くんとなにを話していたの?
どうして私なの?
疑問がふつふつと沸き起こって止まらない。
「………」
だから、すぐに言葉は出なかった。
凛くん以外の人とペアになるくらいなら1人でいた方がずっといいと思っていたくせに。
単純な私は岸本くんの甘い笑顔に心を掴まれてしまった。
なんで、ドキドキしてるの………。
「どうかな?」
「あ、えっと……」
岸本くんを好きになったわけじゃない。
そんなこと、改めて考えなくたってわかるのに。
私はうまく返事をすることができなかった。