極悪プリンスの恋愛事情
甘い誘惑
「んー、どこも変じゃないかなぁ……?」
ぽつりと声を吐きながら、ショーウィンドウに反射した自分の姿を確認する。
この日のために必死で研究したヘアアレンジとメイク。
お年玉を前借りしてまで買った勝負服。
こんなに頑張ったんだもん。絶対に可愛いはず。
自分に言い聞かせるように頷いた。
なにせ今日は、待ちに待った凛くんとのデート当日。
冬休みに入ってすぐの週がいいと提案したから、凛くんに会うのはほんの数日振りくらいなんだけど、やっぱりドキドキする。
しかも校外で会うのは初めてなわけで、凛くんの私服姿まで拝めちゃう。
期待と緊張が入り混じり、さっきから顔のにやけが止まらない。
…………どうしよう。
いきなり「好きだ!」とか言われちゃったら。
恥ずかしいけど「私も好き」って答えちゃう!?
そしたら堂々とラブラブデートできるし、一石二鳥かも!
なーんて。
浮かれに浮かれまくって、ありもしない妄想ばかりしてしまう。
ショーウィンドウ越しに凛くんを演じる姿は、どう見ても危ない人。
異性と………しかも好きな人と待ち合わせ中の女の子には、とても見えないだろう。