極悪プリンスの恋愛事情
素っ気無い返答に少しだけほっとした。
今日のためにネットや雑誌でデート情報を収集してたんだもん。バレたらまたきもいとか言われそうで怖い。
「じゃ、行くか」
「うん!」
歩き出す凛くんの背中を追う。
隣に並んでからゆっくりと息を吐いた。
凛くんとデートできる日が来るなんて思ってもいなかったから、夢を見ているみたいで落ち着かない。
しかも今日はクリスマス当日。もちろんこの日を狙ってデートの約束をしたわけだけど…………。
予想通り、街はカップルで溢れている。
このラブな空気を利用して、凛くんとの距離を一気に詰める作戦だ。
こんなに周りはカップルばかりなんだもん。素っ気無い凛くんだって、少しは意識してくれるよね……?
ちらりと、隣を歩く凛くんを盗み見た。
初めて見る私服姿にドキドキが増してくる。
黒のコートに黒のニットに黒のパンツ。全身真っ黒ってとこが凛くんらしい。
学校のカーディガンだって本当は黒なんだもんね。
明るい色も似合うけど、やっぱり暗めの方が凛くんって感じがする。