極悪プリンスの恋愛事情


「じゃあ、飲み物買ってやるよ。それくらいならいいだろ?」

「気遣わなくてもいいのに……!」


私の返事を聞く前に離れていった凛くんの後を追い、売店の前で足を止めた。


「何にすっかなー……」


独り言を呟きながらメニュー表を見る凛くん。どうやら私の意見を聞く気はないらしい。

いや、別にいいけどさ?むしろ凛くんチョイスの飲み物が飲みたいです!って気持ちだもん。


「あ、これ。これのMサイズください」

「かしこまりました」


お財布からお金を取り出す姿さえも絵になりすぎて、なんだか見惚れてしまう。

男の人に奢ってもらうのなんて初めてだし、すごくデートって感じがする。


「ほら、持って」

「ありがとう……!」


手渡されたドリンクを素直に受け取った。

なんの変哲もないただのドリンクだけれど、私にとっては凛くんから貰う初めてのプレゼント。


なんか、飲むのもったいない。

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