極悪プリンスの恋愛事情
「……………」
けれど、凛くんは何も言ってくれなかった。
いつも通りの不機嫌な返事でもよかったのに、何も言わずにこちらをじっと見つめてくるだけ。
もしかして、ドン引きすぎて何も言えなくなっちゃったとか………?
「なんて、飲むわけないよね」
無言の空気に耐えきれず手を引いたそのとき。
「ちょっと待て」
と、凛くんに手首を掴まれた。
驚いた声を上げる暇もなく凛くんの顔が近づいてきて。
ドリンクに刺さっていたストローをなんの躊躇いもなく口に咥えていた。
「ん、結構美味いじゃん」
にやりと微笑む凛くんと目が合う。
うそ、今………。
「ほんとに飲んだの!?」
「飲むかって聞いてきたのはそっちだろ。何焦ってんだよ」
「それはそうだけど………」
本当に飲むとは思ってなかったんだもん。
予想外すぎてリアクションに困ってしまう。