極悪プリンスの恋愛事情
傷跡
「久しぶりだね、凛」
「あぁ、久しぶり」
「まさかこんなところで凛に会うと思ってなかったら驚いちゃった」
「中学卒業してから会ってないもんな。……元気だった?」
「うん。元気だよ」
「そっか」
2人の会話を聞き流しながら、初めて会う“真央さん”の姿をじっと眺めていた。
大きな丸目と真っ白な肌。手入れの行き届いた艶のある黒髪と細すぎない健康的なスタイル。
非の打ち所がない完璧な美少女だ。
さすが凛くんの知り合いって感じ。
「隣の子はもしかして彼女?」
突然の言葉にドキリとした。
私なんかでも凛くんの隣にいたら、彼女だと思ってもらえるらしい。
このまま彼女だよ!って言ってくれたら泣いて喜ぶのに。
「違うよ」
まぁ、そんな奇跡が起こるはずないわけで。
少しも迷わず切り捨てられると正直虚しい。