極悪プリンスの恋愛事情
「ちょっと静香、大丈夫?」
「精神統一してる……」
「あぁ、大丈夫なのね」
呆れた皐月の顔が目に浮かぶ。
落ち込んでばかりいられないのもわかってはいるつもり。
自分ひとりじゃコントロールできないから厄介なんだ。
「凛くんが学校に来なければいいのに………」
思わず本音が溢れた。
まずいと思って皐月の姿を確認したけど、当の本人はスマホに夢中。
よかった。今の聞こえてなかったみたい。
ほっと安堵のため息をつく。
来なければいいだなんて、他力本願もいいとこだ。
嫌なら私が教室に居なければいいだけなんだもん。
保健室に行ってもいいし、外で適当にサボったっていい。
それでもこの場に留まっている理由は、きっと…………。
「きゃー!相崎くんだ!」
「相崎くんおはよう!」
「今日はひとりなんだねー!」
聞き馴染んだ黄色い悲鳴が飛んできて、ドキリと心臓が高鳴った。
どうしよう、悩んでるうちに凛くん来ちゃったよ……!
結局何もできないまま、ちらりと廊下に視線を向けた。