極悪プリンスの恋愛事情
「教えてくれてありがとう。知れてよかった」
「どういたしまして。俺も花野井ちゃんが泣き止んでよかったよ」
「うっ……」
岸本くんの前で泣いてしまったことが今更恥ずかしくなってきた。
私、泣き虫な人だって思われてそう。
「それでさ、今の話聞いて凛のことどう思った?まだ好きな気持ちは変わってない?」
「そりゃあもちろん変わってないよ!変わってない、けど…………………」
「けど?」
首を傾げる岸本くんを横目で感じながら、ゆっくりと地面に目線を落とした。
飲み終えたばかりの缶を揺らして、次に紡ぐ言葉を考えている。
「私、凛くんを好きなままでもいいのかな……」
不意に溢れた言葉は、間違いなく私の本心だった。
彼が必死に隠した秘密を私のせいで壊したくない。
でも、このまま嘘をつき続ける凛くんをほってもおけない。
どちらが正しいかわからないなら、私に選ぶ権利はないんじゃないかと。そう思う。
「いいに決まってるじゃん。だって、凛は花野井ちゃんのことが好きなんだよ?」