極悪プリンスの恋愛事情


「他に探してないとこあるんじゃない?屋上とか図書室とかさ」

「うーん、そうだなぁ……」


他に探してないとこって言われても、ほとんど行ったと思うんだよね。

屋上は鍵が掛かってたし、図書室は司書の先生が居た。


それほど広くないこの校舎で身を隠せる場所はたぶんそう多くない。


「あ、じゃあ保健室は?」

「保健室?」

「今日一日、保健の先生が不在だから用があるときは職員室に来いってホームルームのとき言ってたじゃん」

「へぇー、そうなんだ」


初耳なのは仕方ない。朝は岸本くんと中庭でサボってたんだもん。

戻ったのはちょうど1時間目が終わった後。


皐月は心配してくれてたみたいだけど、岸本くんと一緒に居たことを話したら「やるじゃん」と肘で小突かれた。

楽しそうにニヤニヤ笑ってたから、何か大きな勘違いをされた気がする。


まぁ、皐月のことだからなんとなく察しはついてるんだろうけど。

茶化して面白がってるだけなの知ってるんだから。


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