極悪プリンスの恋愛事情
歩くたびにポタポタと水滴が流れ落ちていく。
地面にじわりと滲んだ水跡を見ていたら、なんだか笑えてきた。
惨め…………とは思いたくないけど、かっこ悪いな。
凛くんを好きでいるって自分で決めたはずなのに、なんでこんなに不安なんだろう。
今以上に辛い思いをすることになっても、凛くんを想う気持ちは揺るがないってわかるのに。おかしいよね。
私だけの恋をどうして周りから否定されなきゃいけないんだろう。
「っ………」
零れかけた涙をぐっと堪えた。
もう、泣くはやめにしよう。
私の気持ちが凛くんに伝わるまで笑っていたいな。
「うん、大丈夫」
ぽつりと小さく呟いて、更衣室までの道を急いだ。