極悪プリンスの恋愛事情


わざとらしい陰口と何度も隠される上履き。

教室に入っても女子は全員フルシカトで空気みたいな扱いをされる。


皐月は変わらず接してくれるけど、周りからいい顔はされなかった。

よっぽど私を孤立させたいんだろうな………。


机の中に入れられたゴミを片付けながら凛くんの席を見た。

まだ来てない、か。


私がファンの子たちの標的になっていることは、凛くんにも気づかれていると思う。

まともに話せてないのは……たぶんそのせい。


周りの目を盗んで凛くんの側に行っても、声すら聞かせてくれなくなった。

「迷惑」でも「最悪」でも話してくれるならなんだってよかったのに、目も合わせてくれない現実が苦しくて嫌になる。


それが優しさだと知っているから、尚更耐えられなかった。

凛くんが悪いわけじゃないのに、なんで何もしてない人が頑張らなきゃいけないんだろう。


< 288 / 363 >

この作品をシェア

pagetop