極悪プリンスの恋愛事情



「えっと、その……………」


“他の子と遊ばないで”

言いたいことは決まっているのに、口に出すことができなかった。


周り視線が気になるとか、凛くんが怖いとか、そういうのじゃなくて。

口を挟む権利を持ち合わせていないと知っているから。


だって私は─────凛くんの“彼女”じゃない。



「ちょっと邪魔なんだけど」

「突っ立ってないでどっか行けよ」

「わっ、」


体を押されて足元がふらついた。


「1回遊んでもらったくらいで調子乗んな」

「相崎くんだって迷惑してるんだから絡んでくるのやめてよね〜」


私を見下すようにファンの子たちがくすくすと笑っている。


悪く言われるのは慣れてるし、これくらいで傷ついたりしないけど………凛くんの前ではやめてほしかったな。

責任感じて自分を追い詰めてしまわないか心配になる。


こんな歪な関係、いつまで続けたらいいんだろう。


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