極悪プリンスの恋愛事情
「こんなやつほっといて早く教室行こ!」
ファンの子に腕を引かれた凛くんが私の横を通り過ぎていく。
前を見据える彼の瞳に私の姿は映っていなかった。
行かないでよ………。
私だって、凛くんの側にいたいのに。
手を伸ばせば届く距離だった。
離れる背中を追いかけて繋ぎ止めれば、また私を見てくれるかもしれない。
だけどそれは彼の求めてる答えじゃない。
私は今日も凛くんの心に触れることができなかった。