極悪プリンスの恋愛事情
別に嘘ついたつもりないんだけどなぁ……。
彼氏いない歴イコール年齢の私だけど、彼氏にしたい人の条件は一丁前に考えている。
顔より性格だという皐月の言葉も否定しない。
……だけど、相崎くんは特別なの。
「あんな顔だけ男のファンになるとか、見る目ないよねー」
皐月がやれやれと首を振りながら、呆れた顔で私を見る。
「別にファンじゃないもん」
ファンとかそういう浮ついた気持ちじゃない。
私にとって相崎くんは…………。
「あー、好きなんだっけ?」
そうそう、好きなんだよ。
……って!?
「そっ、そそ、そんなはっきり言わないでよ!誰かに聞かれてたらどうするの!?」
年頃女子の好きな人の名前を、そんなあっさりバラすもんじゃない。
キョロキョロと教室を見渡して、誰も聞いてないよね?と、激しい不安を膨らませる。