極悪プリンスの恋愛事情


結局、学校に着くまでずっと凛くんのことを考えていた。

乱れた呼吸を整えながら校門を抜け、スリッパに履き替える。


凛くん、まだ残ってたりしないかな……と、ぼんやり願望を思い浮かべながら教室のドアに手をかけた。そのとき。


「いいかげん花野井に嫌がらせすんのやめろよ」


ドクンと心臓が大きく反応した。

この、声……。


ごくりと息を飲み込んでからそっと教室のドアを開ける。


僅かな隙間から見えたのは数人の女の子と───凛くんの姿。


「な、なんであんな子庇うの!?誰にでも冷たかったくせに、1人だけ特別扱いなんてずるいじゃん!」


「言っとくけど、花野井静香に構う相崎くんが悪いんだからね」

< 307 / 363 >

この作品をシェア

pagetop