極悪プリンスの恋愛事情
私の料理スキルなんて中の下だし、ただの平凡なクッキーじゃ勝ち目がないかもしれない。
頑張るって決めてるのに、たまにくるネガティブ思考に押しつぶされてしまいそう。
それでも立ち止まる選択肢わけにはいかないから、首を振って嫌な気持ちを吹き飛ばした。
えっと……あとはココアパウダーも買わなきゃ。
製菓コーナー彷徨いてを目的のものを目で探す。
ぶつぶつと呟きながらようやくココアパウダーを見つけて手を伸ばした。
「───あれ、花野井さん?」
後ろから呼ばれて振り返る。
え、うそ……。
「林田……さん……」
名前を口にしたら思わず後ずさってしまった。