極悪プリンスの恋愛事情
「仕方ない、か……」
林田さんがぎこちなく笑う。
「私もそうやって受け入れてたら、また違った未来があったのかな」
こちらを見据える瞳には寂しげな影が宿っていた。
ぎゅっと胸が締め付けられるような痛みを感じて、息が苦しくなる。
「“あの時”諦めた方がいいなんて酷いこと言ってごめんなさい」
「えっ……!?」
突然深く頭を下げた林田さんに驚いた。
「凛の隣で楽しそうにしてる花野井さんが羨ましかったの。今更後悔したって遅いのに……本当にごめんなさい……」
苦い記憶が頭の中に蘇る。
林田さんが言う“あの時”って、たぶんクリスマスのことだと思う。
私と凛くんの関係が止まってしまったのは、たしかに林田さんに出会ったのがきっかけだったかもしれない。
誰にも出会わず2人で過ごせていたら、違う未来があったんじゃないかって……考えなかったわけじゃない。
でも、私は─────。